危害の少ない駆除法危害の少ない駆除法とは、使用者、および/あるいは居住者、ペットに及ぼす危害が少なくて、 ゴキブリ駆除に効果のあるものです。
トラップ: ある条件下においては、ゴキブリ駆除にトラップが使用されます。 トラップの適切な配置についてはトラップの位置(第4章)を 参照してください。トラップは、以下の場合に効果を発揮します。
餌をつけた粘着トラップを壁に沿って、機器の下、隠れ処に配置します。 床以外にも、上部キャビネットや天井パネルの上にトラップをしかけることを忘れないように。トラップを頻繁に取り除き、必要に応じて トラップを交換します。
昆虫は冷血動物であり、極端に暑かったり、極端に寒いところで生存することは できません。それぞれの種には、生存できる温度と湿度があります。 種によって多少の違いはあるものの、屋内にいるゴキブリは家庭内で維持される温度に 最もよく適応していることは驚くに値しません。 ゴキブリは、温度が非常に低かったり(摂氏7度以下)、非常に高い(摂氏45度以上) 場合に成長あるいは繁殖しません。
高温や低温はゴキブリを殺す非常に有効な手段であるものの、この過酷な温度は一定時間維持され なければなりません。 高温処理や低温処理は、ゴキブリにショックを与えることに最も有効です。 徐々に低温に下げると、昆虫は低温で生存できる生理的メカニズムを作り出します。 しかし、もし、ビンに入ったゴキブリを室温から氷点下の冷凍庫に入れると、ゴキブリは30分 以内に死んでしまいます。温度変化に急激に適応できないからです。
ゴキブリは、摂氏45−50度以上では生存できないので、熱をかけてレストランや食品サービス施設 からゴキブリを駆除することができます。熱に敏感な機器を取り除き、5−6時間温度を摂氏60−65度に上げます。 一般の家では温度を上げることはできないかもしれません。 しかし、もしゴキブリが繁殖している小型機器に多くの小さな亀裂があり、それが摂氏65度に 耐えることができるのであれば、類似の手順が採用できます。 その手順は簡単です。耐熱性の金属機器をレンジの中に置き、数時間摂氏65度で熱を 加えます。これによりゴキブリは死んで行きます。
また、低温でもゴキブリを殺すことができます。卵鞘を殺すには長時間低温を加えなければいけません。 温度を数日間カ氏0度以下に保つ間、機器や家具を放置しておいても問題ありません。 もし引越しをするのであれば、トラックやバンの中で同じようにしてください。 壁の空間や屋内の亀裂で繁殖している場合には、炭素ガス(二酸化炭素ガス)ボンベ を使って極低温にすることができます。 これにより局部を冷凍できます。 ゴキブリが繁殖している機器も炭酸ガスをかけることができます。機器をプラスチックの 袋あるいは気密容器に入れ、炭酸ガスを入れ、冷凍するまで待ちます。 もし小さいものを冷凍するのであれば、数時間フリーザーに入れてゴキブリを 殺すこともできます。
どのような種類の吸引機、家庭用掃除機、業務用掃除機あるいは埃とり機を使っても ゴキブリを駆除できます。 ゴキブリを亀裂や隙間から取り出すために、掃除機のホースの先端に細いチューブを取り付けます。 繁殖が小さな区域に分離される場合、掃除機で成虫、幼虫、卵鞘を完全に取り除くことができます。 繁殖が広範囲に亘っていても、他の駆除方法の前段階として掃除機は役立ちます。 掃除機で古い卵鞘や新しい卵鞘、糞、生きたゴキブリや死んだゴキブリを掃除することができます。 掃除機では生きたゴキブリを殺すことはできないので、掃除機のごみ袋をフリーザーに入れるか、 あるいはゴキブリが逃げないような容器に入れて処分してください。 ゴキブリはすぐに逃げ出すので、ゴキブリ駆除で使用した掃除機のごみ袋を正しく処分しないで 放置することは避けてください。
乾燥剤と呼ばれている物質があり、これは文字通り直接に接触した物質や動物を乾燥させるもの です。昆虫の体は、他の動物のそれと同じように血液や消化液のような体液で満たされています。 ゴキブリの体表のワックス状の保護膜は、水分の損失を防ぐ役目をしています。 乾燥剤は、このワックス状の層を破壊させるのでゴキブリが死にます。ゴキブリ駆除で最も有効となる2つの 乾燥剤は、珪藻土とシリカゲルです。これらの物質を含んでいる殺虫剤製品を 付録 Bに示します。
珪藻土: 珪藻土は、微細な海の動物である珪藻が化石化したものであり、シリカ層から掘り出されます。 この物質は、人に無毒です。研磨性があるので、珪藻土はゴキブリのワックス状の表層を 破壊することができ、ゴキブリは乾燥して死に至ります。珪藻土は、プールの水の濾過に用いられているので、 プールのメンテナンス会社から安価に購入することができます。また、ピレスリン殺虫剤にも 処方されており、乾燥剤に加えて駆除効果を持たせてあります。 付録 Bにそれらの製品を示してあります。
シリカゲル シリカゲルには研磨性はなく、化学的に不活性な物質であり、微細粒子が水分や油分を 吸収するため脱水剤として使用されています。 出荷時あるいは保管時の水分の蓄積を防ぐため、シリカゲルの小さな袋が、電気機器のパッケージに挿入されていることがあります。 シリカゲルは、花のビジネスで使用されるので、花屋でも購入することができます。
シリカゲルの粒子は静電気をもっており、ゴキブリの体に強く付着します。 体に付着するとシリカゲルはワックス状の保護膜に吸着し、脱水でゴキブリは死にます。 シリカゲルは、殺虫剤にも処方されています。Drione® という製品は、シリカゲルを 40% 、ピレスリンを 1% 、ピレスリン増強剤であるピペロニルブトキサイドを含んでいます。 また、SureGard® D.P.S. Roach Powder という製品は、ジアジノンとピレスリンを含んでいます。
脱水剤の使用法: 脱水剤を使用する場合には、以下のことに留意します。 脱水剤は、湿ると効果はありません。このため、脱水剤は乾燥した場所でのみ使用してください。 脱水剤をダスターあるいは小さく、狭いノズル(6ミリ以下)のある柔らかいビンに入れ、薄い層になるように敷きます。 一度に多く使用するよりは、うっすら粉をひくくらいの少量がよいでしょう。
乾燥した場所で使用しても、脱水剤は空気中から水分を吸収します。 脱水剤は、密閉、乾燥した空間で使用すると、普通の条件で2−3週間活性を維持します。 湿気がある夏季では恐らく1週間以上効果は維持できません。 少ない量で使用し、頻繁に補充してください。脱水剤の粉は、モーターや電気機器に害を及ぼすことがあるので、 これらの近くで使用することは避けてください。
現代化学により害虫駆除の分野にも新しい武器が登場しました。 これらの化学物質は、害虫駆除で使用されるのみならず、人や生物に非常に毒性が低いということ からすばらしいものです。 これらの合成生化学物質は、生育あるいは成長を阻害し、害虫を殺したりあるいは繁殖を阻害する ものです。 これらの物質は、ゴキブリに対しても試験され、それらのうちのいくつかのものは非常に効果があることが 実証され使用されています。 一般的に言って、これらの物質は非常に安全に使用できるものの、一般の家庭用には余り販売さ れていません。業務用駆除剤を販売している害虫駆除業者に問い合わせてみてください。 専門業者は、イエローページで見つけることができます。
成長阻害剤 (IGR): 成長阻害剤は、比較的新しいグループの化合物であり、害虫の生育と成長を阻害するもの です。卵の生育や幼虫の成長に影響を及ぼします。

萎えた翅と黒ずんだ体からハイドロプレンが効いていることが分かる。
ハイドロプレン (Gentrol®): ハイドロプレンは、アパートや家庭のゴキブリ駆除用に登録されているIGRです。 これは、液体あるいはエアゾールとして処方されており、ゴキブリの体に吸収されます。 ハイドロプレンは、ゴキブリを殺すものではありません。 影響を受けたゴキブリは色が黒ずみ、成虫となっても翅は萎えて、変形します。 ハイドロプレンは、産児制限のように作用するので、ゴキブリの駆除ができます。 翅の変形したゴキブリの成虫は不妊になります。 ハイドロプレンは、人やペットに対してほとんど毒性がなく、再処理が必要になるまで90−120 日程度効果が継続します。 ゴキブリは殺せないので、しばしばゴキブリの成虫と幼虫を殺す殺虫剤と混合されます。殺虫剤で死ななかったゴキブリの幼虫は、成虫になっても繁殖することができません。 Gentrol® という製品は、小さなビンに入っており、1回処理用として購入できますが、残留効果のある 駆除剤とあらかじめ混合されたものとして、液剤あるいはエアゾール剤として購入することが できます。入手できる製品については、付録 Bを参照してください。
フェノキシカーブ: フェノキシカーブは、カーバメート系殺虫剤に似ています(カーバメートについては 第7章を参照)が、IGRのように作用します。Gentrol® という製品 のように、この製品は単独で使用すると非常に遅効性です。 ゴキブリの数が減ったと気づくまでに6−9ヶ月必要となります。 Gentrol®という製品とは異なり、フェノキシカーブを使用した後でも黒ずんだゴキブリあるいは萎えた翅のように 視覚的な効果は見えません。 Gentrol®という製品と同じように、殺虫剤がしばしば追加されます。 フェノキシカーブを含有する液剤製品を付録 Bに示します。
家庭内のゴキブリを実践的かつ生物学的に駆除することが、現在要望されています。 ハリネズミ、蛙、亀、ヤモリ、ハツカネズミなどゴキブリを捕食する動物がいます。 ゴキブリには、ダニ、回虫、ムカデなどの天敵もいます。 ただし、多くの人はこれらの生物が家庭内に住むことは、ゴキブリが繁殖することと同じように 容認できません。
若干の小さな寄生蜂 (Evania, Hyptia,、Tetrastichus)などがいて、 かれらは卵をある種のゴキブリ、例えばワモンゴキブリ、トウヨウゴキブリ、チャオビゴキブリなど の卵鞘に産み付けます。 チャオビゴキブリが最も激しく寄生を受けるようです。 寄生された卵が孵化すると、寄生蜂はゴキブリを捕食し、ゴキブリを完全に破壊するので、 ゴキブリは孵化することができません。この小さな寄生蜂は、卵鞘の端から外に出ます。もし卵鞘の端に小さな孔が見られれば、それは寄生された卵鞘です。
科学者たちは、これらの小さな寄生蜂を何千匹とゴキブリが繁殖している場所に放出することで 多くの卵鞘を破壊できることを実証しました。 ただし、この小さな寄生蜂は家庭内のゴキブリを駆除する実践的な方法とはなりません。 なぜならば、家主はこれらの小さな寄生蜂が何千匹も家庭にいることを望まないからです。
微生物: アバメクチン (Avert®)は、土壌菌 Streptomyces avermitilisが作り出す天然の毒素です。 ベイト剤に処方され、ゴキブリを含む数種の昆虫に対して評価されました。 アバメクチンのベイト剤は、非常に遅効性であるものの、中・小規模の繁殖を減らすことが できます。
| Pesticide Education Resources @ University of Nebraska-Lincoln | |