駆除計画を立てる
この時点で、読者は処方や化学成分が多くて異なることに若干悩まれる かもしれません。 何をどこで使用するのか、どのようにして決定するのでしょうか。
まず、ゴキブリから水、食料および隠れ処を少なくする努力をしなければ なりません。これらの努力により他の駆除法がより有効となります。
次に、前述のどの処方あるいは化合物が効くかを調べる必要があります。 選択する駆除計画は、それぞれの状況にユニークなものでなければなりません。 例えば、もし毒性の低いアプローチが重要であれば、本人、家族、ペットに危害の少ない 戦術だけを検討しなければなりません。もし毒性の低いアプローチが重要でなく、殺虫剤を混合、充填 するのが可能と考えられれば、駆除計画には水和剤や乳化濃縮処方も含まれることになります。

駆除計画を立てる上で、他人やペットの活動も考慮する必要があります。 例えば、空家になっている2所帯住宅を処理しようとするならば、居住者がいる2所帯住宅を 処理するのとは異なる戦術が必要です。もし自分で自宅の駆除をするのであれば、処理の後しばらく 留守にできるタイミングをはかります。
注意: ゴキブリが殺虫剤に耐性を持つようになることがあります。 もし駆除がうまく行かなければ、定期的に異なる殺虫剤に変更してください(ローテーション) (付録Cを参照のこと)。
もし読者がアパートの管理人あるいは賃貸主であれば、毒性の少ない駆除法を採用するという よりは、若干異なる対応をとるかもしれません。毒性よりもその薬剤の有効性に関心を持っているかも しれません。同時にテナントの安全と殺虫剤の使用者の安全に関心を払わなければなりません。
テナントとの間で、住居の徹底的な掃除と処置をする可能性が出てきます。 蛇口の水漏れ、配管からの水漏れは修理しなければなりません。 機器の下も掃除してください。 1.5 ミリ以上の大きさの亀裂は、コーキングする必要が あります。脱水剤あるいは粉剤で壁の空隙を粉剤処理します。 アパートや一軒家が空いた場合に、全般的な亀裂、隙間処理をします。
新しいテナントが入ってきた場合、テナントにできるだけ掃除をするように働きかけ、 ゴキブリに水や食料を供給するのを制限しつづけなければなりません。 第5章 の掃除法のコピーを手渡してください。
もしゴキブリが再繁殖すれば、すでに述べたページにある毒性の少ない駆除法の リストをテナントに分けてください。使用法が分かれば、テナントは脱水剤、ホウ酸のような戦術 をすすんで使うかもしれません。 また、付加的な駆除方法としてベイト剤を使用するかもしれません。
殺虫剤の使用に関してテナントとコミュニケーションを保つことは、管理人の責任です。 ゴキブリ駆除に使用する殺虫剤のラベル表示や安全性データシートをテナントに提供すべきです。
もし殺虫剤処理をする場合、処理後に何を期待できるかをテナントに教えてください。 もしピレスロイドを使用する場合、数日間は多くのゴキブリが活動することがあることをテナントに 伝えてください。これは、殺虫剤が効いている証拠なのです。
特殊な殺虫剤を推薦するように努力することには問題があります。 実験室で行う毒性試験でゴキブリを効果的に殺すことのできる殺虫剤は、実地試験ではそれほど有効で ないことがあるという問題があります。 多くの条件下で、 タンクで混合する多くの殺虫剤は、ゴキブリの数を削減することができます。 しかし、製品に関係なく、時々アパート、家庭などでゴキブリを駆除することができないことが あります。 特別の製品がうまく行かないという理由はいつも分かるとはいえないのです。 もしその製品を使用し、期待するようにゴキブリの数を減らすことができなければ、 他の製品をトライしてみてください。 抵抗性をもつゴキブリ (付録C)がいるのかどうか、あるいは 整理整頓のレベルを改善する必要があるか、あるいは亀裂や隙間のコーキングを施さなけれ ばならないのか分かりません。 重要なことは、あきらめないことです。 この教本に述べられているすべてのステップを採用すれば、ゴキブリの数をかなり削減する ことができるはずです。
ゴキブリ駆除をよく勉強すれば、殺虫剤を他人に扱わせたいと考えるようになるかもしれません。 評判のよいPCO業者を見つけるには何を探せばよいのでしょうか? ここで検討する課題を述べてみます。
業者に対する質問事項:
駆除業者が使用しようとする殺虫剤のラベル表示と安全性データシートの情報を 要求してください。特定の業者だけが使用できる特殊あるいは秘密の殺虫剤はありません。 すべての会社が、付録Bに記載された殺虫剤、およびここに述べていない若干の制限された 殺虫剤のいずれをも使用することができます。
いままでに議論してきたように化学的、その他の駆除法をすべて正しく使用した場合、 ゴキブリに対してある程度有害な影響を及ぼすものです。 家庭療法と呼ばれているものがあり、これがゴキブリに対して効果があると信じている人がいます。 これらの方法は、科学的根拠のあるものもありますが、多くの理由からゴキブリに対しては 余り有効ではありません。
家庭療法は、他の目的に使用される一般的な家庭にある物質です。 芳香のあるハーブやスパイスは、特に忌避物質が非常に濃縮された場合には昆虫を寄せつけない性質 を発揮することが示されています。 残念ながら、ゴキブリに対して忌避剤を使用しても余り効果はありません。 繁殖を抑える代わりに、同じ住居内でゴキブリを他の場所に移動させるだけです。 忌避剤は、寄せつけないだけで、殺虫効果を持つものではありません。
オセイジオレンジ、柑橘類、きゅうり、玉ねぎ: オセイジオレンジ、柑橘類の皮、きゅうりの皮、玉ねぎなどから殺虫性および忌避性物質が抽出されますが、 これらの抽出された化学物質のいずれもゴキブリに効果があることは示されていません。 もし濃縮された化学物質が効果がなければ、オレンジ、柑橘類、きゅうりの皮、玉ねぎも効果は ありません。
スパイスやハーブ: ある種のスパイスやハーブは、昆虫を寄せつけないと言われています。 シナモンはその一つの例です。その他のものとして、ローリエ、クローブ、フェンネル、ガーリック、 ラベンダー、ペパーミント、ロズマリー、スペアミント、タンジー、タイムなどがあります。 これらのハーブは、すべて化学物質を含有しており、抽出、濃縮すると若干昆虫を寄せつけ なかったりするものの、ゴキブリに対してはそういうことはありません。 ガーリック、玉ねぎ、ホットペッパーを含む殺虫性のガーリック溶液処方があります。 これらの溶液は、ゴキブリよりはそれを作る人を寄せつけないことになります。
食塩、レッドペッパー、チョーク、タルク、ボーンミール:. 食塩、レッドペッパー、チョーク、タルク、ボーンミールのような家庭にある ものが、忌避性あるいは殺虫性効果があると言う人がいます。 残念ながら、これらの物質はゴキブリを殺したり、ゴキブリの挙動を変えることはできません。 実際に、ゴキブリはレッドペッパーの粉を食べることがあります。
石けん水: 石けん水は、植物の上にいる若干の昆虫を駆除するのには使用されますが、ゴキブリに影響を及ぼすことはありません。
Bacillus thuringiensis (B.t.): Bacillus thuringiensis は、致死性の毒素を作り出す細菌であり、蚊、ブユ、甲虫、バッタ、コオロギ、蛾やチョウの幼虫を 駆除することができます。 現在のところ、この細菌のどの種もゴキブリに効果があると立証されたものはありません。
米ぬか、重曹、ふくらし粉: 迷信に、米ぬかを昆虫に食べさせると、 米ぬかは昆虫の体内で膨張し、昆虫は死ぬというのがあります。パンを作るときに使用する 重曹やふくらし粉にも同じような効果があると言われています。 米ぬか、重曹、ふくらし粉ではゴキブリは死にません。
超音波装置: 昆虫、ネズミ、鳥、その他の害獣を寄せつけないと言われる超音波装置があります。 これらの装置は、特定のネズミや鳥に対して使用されてきました。 残念ながら、害獣に対する破壊的効果があることから、昆虫駆除もできると推論 している製造メーカーがあります。 ゴキブリ(あるいはその他の昆虫)が超音波に影響を受けるということを示す科学的根拠はありません。
1980年代の初めに、ネブラスカ大学の研究者は超音波がゴキブリの挙動に及ぼす影響 について研究しました。その結果は Pest Control 誌で報告されました (1982年6月号、24ページ)。 その報告の中で、「音波および超音波はチャバネゴキブリを駆除あるいは忌避する上で 効果はないように思われる」と述べられています。 また Pest Control 誌の別の号 (1984年2月、26ページ) で米国昆虫学会大会での パネルディスカッションの報告が掲載されました。 超音波に関しての最後の行に次のように述べられています。「発言した研究者のいずれも超音波 装置が昆虫を駆除すると思っている者はいない」ということです。 パネルメンバーの1人は、「うまく機能しない装置を市場から葬りましょう」と要約しています。
電子猫: ブラジルで生まれた装置である Vibromax は、電子猫と呼ばれています。 この装置は、コンクリートの床や壁の中の鉄筋を強化するため直接に取付けられるように 設計されたものです。 製造メーカーは、この装置により発生した振動は、弱い地震に似ていると言っています。 ネブラスカ大学では、この装置も試験しました。その結果、Vibromax で作り出される 振動は、ゴキブリの挙動に影響を及ぼすことはなく、ゴキブリを忌避するものではないことが 実証されました。
誘引灯: 最後にあげる装置は誘引灯です。これは、飛行性の昆虫がこの装置が発生する光の色に誘引され、 殺すよう設計されたものです。 しかしながらゴキブリはこの光の色に誘引されないので、この誘引灯でゴキブリを駆除することはできません。
銅、アルミ箔、毛髪: 銅箔は、昆虫が嫌い、避ける電流を発生すると言われています。 銅箔は、昆虫自体には何の影響も及ぼしません。 映った姿を見て混乱するため、昆虫はアルミ箔の上を通りすぎないと信じている人もいます。 ゴキブリがアルミ箔に映った姿を見ることはできないし、ましてや混乱することはありません。 いずれにしてもアルミ箔は、ゴキブリを駆除したり、忌避することはありません。 また、まっすぐに伸ばした人髪や馬の毛により、昆虫が横切れないと言う人もいます。 昆虫が髪を通過すれば、脱水により死亡すると言われています。 これは全くあきれた効能です。人髪や馬の毛でゴキブリを脱水させることはできません。
世界中の研究者が、さらに効果があり、安全で、安価なゴキブリ駆除法を捜し求めています。 これらの新しい薬剤は本質的には毒性が少なく、それらを使う方法はより厳格なものとなるで しょう。現在のところ多くのアイデアが検討されています。 捕食性昆虫、くも、ゴキブリに付着するダニ、ゴキブリに寄生し、ゴキブリを 殺す原虫や線虫などが若干見込みがあるようです。 ゴキブリに病原体として作用する新種のウイルス、細菌、真菌類も若干の可能性があります。 これらの方法のいくつかのものは、すでに入手可能となっていますが、多くの場合住居内で 見うけられる条件下で効果がないか、あるいは実践的ではありません。 恐らく最も基本的な変化は、ゴキブリを駆除する技術ではなく、どのように駆除作業を行うかと いう姿勢であると思われます。
将来は、環境への影響も今にまして考慮されるでしょう。 既存の多くの処方が、再考されるでしょう。そのよい例が、エアゾール中の溶剤システムです。 オゾンを破壊する溶剤を含有する製品は、来る数年で姿を消し、製造メーカーは環境にやさしい 代替品を提供しなければならなくなるでしょう。 またエアゾール缶のないエアゾールタイプに似たスプレーも期待できます。
さらにゴキブリフェロモンを使用した処理も見逃せない重要な開発です。 これらのフェロモンを使えば、少ない殺虫剤量でもゴキブリ駆除効果が増すでしょう。 実験室では、チャバネゴキブリの2種類のフェロモンをほぼ化学的に解析するのに成功しています。 その1つは、オスのゴキブリを誘引する性フェロモンです。 性誘引剤の1つの使用法として、粘着トラップにつけることにより検出とモニタリングが改善できる ことがあります。 他の使い方としては、誘引剤を殺虫剤に加えることによりゴキブリの死亡率を高めることがあります。 チャバネゴキブリの第2の誘引剤は、集合フェロモンです。 このフェロモンについては、すでにこの教本でも述べあります。このフェロモンは、オスとメスの両方 を誘引できるので非常に有用な手段になると考えられています。
今までに述べたものの改良も含めて、多くの新しいゴキブリ駆除法が、恐らく 今後10年の間に出てくると思われます。 そのいくらかのものには、効果があったり、また効果がないものもあるでしょう。 よく効くものがあるとしても、危険性があったり、あるいはコストがかかるかもしれません。 時間とともに新しい製品を見聞することができるでしょう。これらの新しい駆除方法を 決定するには、まず質問をし、疑い、常識で判断することが必要です。
| Pesticide Education Resources @ University of Nebraska-Lincoln | ||